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日本作物学会の皆様へ

会長 大門弘幸
(龍谷大学農学部)

 COVID-19の感染拡大防止のための種々の対策が国内外で進められる中,3年目に突入したコロナ禍の世界ですが,社会活動,経済活動が少しずつ動いてきた感があります.会員の皆様方におかれましても,様々な工夫をされながら,研究,教育,地域貢献等にご尽力されていることと拝察いたします.さて,2022年4月1日より日本作物学会2022-2023年度の新執行部がスタートいたしました.山岸順子前会長,白岩立彦元会長の下で副会長を務めさせて頂いた経験を糧にして,微力ながら会長を務めさせて頂きますので,どうぞよろしくお願いいたします.先ずは,本号の巻頭において今期の運営体制などについてご報告させて頂きます.
 新執行部では,大川泰一郎先生,本間香貴先生に副会長を務めて頂き,荒木卓哉先生と畠山友翔先生に庶務幹事,宮崎彰先生と水田圭祐先生に会計幹事をそれぞれ務めて頂いています.また,会計監査は,磯部勝孝先生と岡元英樹先生がお引き受け下さいました.
 すでに会員の皆様方に周知されていますが,大川副会長には本学会の法人化に向けて準備委員会を立ち上げ,その準備を進めて頂いています.本執行部は,任意団体としての日本作物学会の解散を司り,新たに一般社団法人としてスタートするための種々の準備を行っていきます.法人化により会員の皆様の学会活動をより行い易くし,学会のプレゼンスを高めていく所存です.スムーズな移行に会員の皆様のご理解,ご協力をどうぞよろしくお願いいたします.
 また,本間副会長には,この2年半のコロナ禍の中で,多様な講演会のあり方が模索されたことを受けて,今後の講演会やシンポジウムのあり方について再度ご検討頂くことをお願いしております.山内章ACSA会長をはじめ名古屋大学や海外交流推進委員会の皆様のご尽力で,2021年9月にACSAC10のオンライン開催を成功させて頂き,海外の研究者や学生との繋がりを日常的に行ったり,出張せずとも講演会に参加できるといったメリットを感じた会員の方々もおられると思います.結果的にこれからの会員相互の繋がりの新たな方法の一つが提示されたのかもしれません.一方で,学生会員を含む各世代の会員の声として,実際に対面で多くの研究者と論議したいという御意見をお聞きしています.本間副会長には,会員の御意見に傾聴頂きながら,今後の講演会のあり方についてご検討頂くことにしています.
 その講演会ですが,2022年9月20日~22日に福島大学において,第254回講演会の開催を新田洋司運営委員長,二瓶直登事務局長のもとで準備して頂いています.2019年秋の第248回講演会(とりぎん文化会館)以来の対面開催を予定しています.対面開催の可否の最終判断は,7月19日までにお決め頂くとのご報告を受けています.感染拡大防止を考慮して懇親会は開催いたしませんが,対面開催となった場合には,多くの会員の方々のご参集をお待ちしています.もちろん状況の変化によってはオンライン開催になりますが,是非,第254回講演会を皆様の研究成果発表の機会として頂ければ幸いです.
 また,本講演会では,公開シンポジウムを開催しますが,本シンポジウムは,2022年度の科研費「研究成果公開促進費(研究成果公開発表(B))」に採択されました.成果公開名は「被災農耕地をみて地域と一緒に考える農業と作物生産 −農耕地の回復・作物生産技術展開とマーケットの課題」です.申請書を立案して頂いた本間前シンポジウム委員長,開催地の新田先生ならびにシンポジウム委員の皆様には,申請から開催に至るまでご尽力頂き感謝申しあげます.加藤洋一郎シンポジウム委員長のもと,地域社会に開かれたシンポジウムとして盛会となることを期待しているところです.
 2022年度の科研費「研究成果公開促進費」につきましては,国際情報発信強化(B)「作物生産の「知」の新たなプラットフォームづくり―アジア・アフリカの反逆」が採択されました.英文誌(PPS)の新たな展開と刊行の基盤となる重要な研究費です.採択年数は5年間が予定されています.根本圭介PPS前編集委員長ならびに編集委員の皆様には,本申請にあたりたいへんお世話になりました.東江栄PPS委員長のもと,さらなる投稿数の増加を期待しています.会員の皆様方には積極的な投稿を是非お願いします.また,前号の巻頭言で少し触れましたが,和文誌(日作紀)の投稿数がやや減少気味です.幹事会,評議会での御意見では,コロナ禍による研究の遅滞が否めないのではないかとのコメントを頂きました.上述のように,今後は感染拡大防止につとめながら社会活動を回復させていく必要があります.萩原素之日作紀編集委員長のもと,学会員の皆様には研究成果の公表の面でもご尽力頂ければ幸甚です.
 日本作物学会の活動は,各種委員会のご尽力によるところが大きいと感じています.各種委員会の立ち上げ時の会議には,必要に応じて会長や副会長が出席させて頂いたこともありましたが,それもできないままです.講演会時の新執行部の紹介とご挨拶もコンピュータ画面で失礼しました.新執行部立ち上げとともに学会ホームページの「組織」のサイトに,各種委員会の委員長と委員など役員一覧を掲載させて頂きました.皆様には学会活動の活性化をさらに進めるためにご尽力を頂ければ幸甚です.
 では,多くの会員の方々の研究成果をこの秋には福島の地で,そして2023年春には東京農工大学でご発表頂けることを楽しみにしています.以上,先ずは本号巻頭のご挨拶にかえさせて頂きます.2年間,どうぞよろしくお願いいたします.

2022年6月