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日本作物学会の会員の皆様へ

会長 森田茂紀
(東京大学大学院)

1.会長選挙
 すでに日作紀3号において公示されました会長選挙は,立候補・推薦の受付け期間中に1件のお申し出がありました.そのため,実質的には信任投票のような意味合いになりますが,現行の規定に準じて会員の皆様に投票を行って頂くことになります.なお,候補者が1名の場合に関する現行の規定は必ずしも明確でありませんし,候補者がいなかった場合については規定がありません.この件につきましては,秋の臨時評議員会ですでに問題の提起を行いましたが,次の評議員会および総会に向けて会則改定の準備を行っていく予定ですので,ご協力をお願い致します.

2.秋の臨時評議員会
 岩手大学で開催されました第220回講演会の前日に,臨時評議員会を開催しました.ここでは,春の評議員会における報告で済む問題はできるだけ割愛し,会長・評議員選挙のスケジュールなどについて確認をした後,日頃なかなか議論の時間が取れない学会全体の懸案事項などを取り上げました.たとえば,国際交流の進め方,遺伝子組換え作物への学会としての対応,学会活動に関するIT化(論文や講演要旨の電子投稿),会費の有効な利用,学会の戦略や将来構想に対する考え方などです.これらの議論を踏まえて,来春の評議員会・総会の準備を行っていくつもりです.

3.「作物栽培学体系」
 作物学・栽培学の新しい発展を進めるためには,これまでの研究成果をレビューして,現在までの到達点を示すとともに,残された課題について整理しておく必要があります.そのための試みの一つとして,会長に就任する以前に朝倉書店へ提案しました「作物栽培学体系」の企画を,日本作物学会編集という形で仕切り直しすることができました.そこで,レビュー委員会の中に設置したワーキンググループで,森田が責任者となって進めることになりました.現在,以下のような8巻構成とするところまで決まりましたので,ご報告いたします.各巻の編集責任者(2名の場合は前者の方)に森田を加えて,編集委員会を構成しています.今後,会員の皆様に分担執筆をお願いすることになりますが,よろしくお願い致します.

  第1巻 総 論(編集責任者:阿部 淳)
  第2巻 イ ネ(編集責任者:丸山幸夫)
  第3巻 ムギ類(編集責任者:小柳敦史・渡邊好昭)
  第4巻 雑穀類(編集責任者:山内 章)
  第5巻 マメ類(編集責任者:国分牧衛)
  第6巻 イモ類(編集責任者:中谷 誠)
  第7巻 工芸作物(編集責任者:巽 二郎・稲永 忍)
  第8巻 飼料作物・緑肥作物(編集責任者:大門弘幸)

4.国際交流の進め方
 今井前会長時代からの方針を引き継いで,日本作物学会がイニシアティブを取りながら,東アジア地域を中心にした国際交流を進めているつもりです.すなわち,日中韓の三国間における無理のない地道な交流が続いており,9月に北京で開催された中国作物学会に昨年に引き続いて森田が招待され,日本作物学会の紹介および作物研究の動向に関する講演を行いました.その概要につきましては,学会のホームページに掲載してありますので,ご覧頂ければ幸いです.また,8月には韓国で環境調和型農業に関する国際シンポジウムが開催され,日本作物学会から井上吉雄会員と森田が招待されて講演しました.この国際シンポジウムは2008年に韓国の済州島で開催される世界作物学会議のプレイベントとして位置づけられたものですが,日本作物学会として世界作物学会議にも積極的に係っていくことが評議員会でも了解されています.この他,2007年にはタイでアジア作物学会議が開催される予定で,中国作物学会が参加を希望していますので,日本作物学会として実現へ向けて協力していきたいと考えています.
 なお,国際交流推進委員会からの提案に基づいて,来春の講演会で国際ワークショップを企画しています.この企画がその後も継続されることを期待しています.

5.ポスターの作成
 今年度は,会長裁量経費を執行するような事柄がこれまでありませんでした.だからといって無駄遣いする必要もありませんが,この機会に日本作物学会のプレゼンスをアピールするイメージポスターなどを作成することを提案したいと思います.この件は,臨時評議員会でご説明して,方向としてご了解頂いているところです.作物栽培研究の社会的劣勢を簡単に挽回する秘策はなく,地道な研究実績を積み上げることが基盤となることはいうまでもありませんが,この分野の学生や若手研究者だけでなく,広く一般市民に対しても「日本と世界の食料,環境,平和を守る日本作物学会」くらいのアピールをして元気を出したいと思います.

6.支部関係
 昨年度に引き続き,今年度も支部会・談話会を中心にすべての支部にお邪魔するつもりでおりますので,よろしくお願いいたします.なお,本会と支部会の連携を強化するための具体先につきましても検討を続けておりますので,是非,ご意見やご提案を頂ければと思います.