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日本作物学会の会員の皆様へ

会長 森田茂紀
(東京大学大学院)

 新体制となりまして早くも4ヶ月が過ぎました.この間,役員を中心とした会員の皆様,ならびに事務取扱所を担当して頂いている共立印刷のご支援とご協力により,会務を進めて参りました.関係各位にお礼申し上げるとともに,引き続き,よろしくお願い申し上げます.
ただし,私の不注意からミスもありました.その一つに,新しく名誉会員となられた3名の方々を,事務手続き上の不手際から退会扱いとしたうえで名誉会員と記載したことがあります.心からお詫び申し上げ,訂正させて頂きます.なお,この機会に,名誉会員の権利などが会則に明記されていないことも判明いたしました.この点につきましては,国分副会長を中心に会則の該当部分について改正案の作成を進めることに致しました.

1.情報の共有と公開
 4月以降の毎月,会長として把握している情報を,両副会長,評議員,委員会委員長・幹事,支部長,および前期の正副会長に対して,「日本作物学会2004年4月の動き」のような形でお知らせし,情報の共有を図っております.また,毎号の日作紀において,各委員会・支部に四半期ごとの活動を報告して頂くことにしました.これは,学会全体の動きを広く会員の皆様にご理解頂くとともに,ご協力頂きたいからであります.よろしくお願い申し上げます.
なお,1号までの「会告」と「本会記事・支部記事」を,2号からは「学会からのお知らせとお願い」と「会務報告」とし,前者はこれからのこと,後者はこれまでのこと,という大まかな仕分けを行なうことにしました.
学会のホームページは随時,情報ネットワーク化委員会によって情報がアップデートされており,会長挨拶や学会体制なども公開しております.ホームページは,学会として重要な発信装置でありますので,今後もさらに充実していきたいと考えております.

2.役員会の開催
 7月10日に東京大学農学部において,今年度の第1回役員会を開催いたしました.これは,従来「幹事会」と呼ばれていたものに相当しますが,参加者の範囲をできるだけ広めに捉えるとともに,原則として各委員会の幹事でなく委員長,各支部の幹事でなく支部長にご出席頂き,会務の執行について議論を行ないたいという意味で「役員会」と呼んでおります.この役員会に関しては「会務報告」で取り上げておりますので,一部,重複いたしますが,いくつかの重要な点を以下で取り上げさせて頂きます.

3.学会戦略ワーキンググループと会長提案
 会長の諮問機関として学会戦略ワーキンググループ(丸山幸夫委員長)を設置し,学会活動の問題点を整理するとともに,改善のための対策を検討して頂いております.今年度末に検討結果の中間報告を受け,それをもとに役員会や評議員会で議論をして頂き,来年度中に提出される最終報告を基にして,学会戦略およびその実施体制に関する執行部案を作成して,役員会・評議員会を経て総会にかけることが目標です.ただし,ワーキンググループの最終報告がそのまま執行部案となるとは限りませんし,最終報告を待たずに議論したり,実施できることは,早目に進めていきたいと考えております.その一つに,日作紀2号で申し上げた会長・評議員選挙と支部の問題があります.役員会では「会長提案」として,会長・評議員選挙と支部に関する提案について趣旨説明を行ないました.充分に議論する時間がありませんでしたので,今後も役員会や評議員会で取り上げて頂くつもりです.なお,7月22-23日は北陸支部会,7月31日は近畿支部会に参加し,ご挨拶申し上げる機会を頂きました.今後も,支部会へはできるだけ参加させて頂き,本会と支部との関係を強化する方途を探っていきたいと考えておりますので,どうぞよろしくお願い申し上げます.

4.学会からの発信など
 学会からの発信としては,いくつかのものがあります.ホームページについてはすでに述べたとおりですし,日作紀とPPSは両編集委員会のご努力でデータベース化やオンラインジャーナル化などを通じて,発信が強化されてきました.また,日作紀およびPPSでは,原著論文以外の項目,すなわち総説や解説記事・連載講座などを強化していく必要があると考え,レビュー委員会(巽二郎委員長)に両編集委員会と連絡をとりながら検討して頂くことにしました.学会からの発信は,例えば日作紀の連載講座というように単独に検討するのでなく,全体について体系的・計画的に進める必要がありますので,レビュー委員会に定期的なレビューを担当するだけでなく,学会からの発信の全体を統括する役割を果たして頂くことを期待しております.学会からの発信は単に会員だけを対象としたものではなく,それ以外の研究者・技術者や一般市民(とくに小中高等学校の生徒や教員)も含めて考える必要があると思います.なお,JABEE関係は積極的に対応していくべきであるという点で,前期の執行部と同意見であり,審査委員の養成など今年度の取組みにつきましては,松田副会長と岩崎直人担当幹事を中心に原案を作成して頂くことになっております.

5.海外交流関係
 海外交流関係でも,いくつかの動きがあります.一つは,国際コメ年である今年の11月に国際イネ研究会議が開催されます.国分副会長と海外交流委員会(近藤始彦委員長)を中心として検討して頂き,日本作物学会として「高温・低温障害」に関するワークショップを開催することになりました.また,9月末から10月初めにかけて,オーストラリアで国際作物学会議が開催されます.本会議には,日本作物学会として国分副会長と近藤海外交流委員会委員長にご参加いただき,ビジネスミーティングで発言して頂きます.次回は2008年に韓国で開催される予定で,協力要請があると考えられます.沖縄での学会で開催されるシンポジウムでは中国および韓国の作物学会代表が参加される予定で,国際作物学会議やアジア作物学会議に関する話題もでると考えられます.

6.北陸支部会による豪雨被害調査
 新潟県および福井県を中心とした北陸地域における豪雨被害によって農作物に大きな被害があったことは,ご存知のとおりです.北陸支部では,単に行政による被害額調査だけでなく,作物学者としての調査研究と対策提言が必要であるという観点から,被害調査を企画しており,本会に対して協力要請がありました.評議員会や総会にかける時間的余裕がない緊急の問題であり,両副会長にもご賛同頂きましたので,会長判断で予備費から支援を行い,作物学会として被害調査を行なう姿勢を示すことにしました.また,昨年の冷害調査と同様,同時並行的に科研費の申請も計画しております.これらの点につきましては,評議員会および総会でご説明・ご報告させて頂きます.