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日本作物学会会員の皆様へ

会長 大川泰一郎
(東京農工大学大学院農学府)

 「令和6年能登半島地震」から半年が過ぎ,現地では懸命な復旧活動が続いています.日本作物学会は日本農学会および現地での復旧に取り組む農学関連の他学会と連携し,作物学の研究成果,東日本大震災の農業復興の実績をもとに,災害復旧,復興に生かしていきたいと考えています.
 2024年4月から日本作物学会は一般社団法人に完全移行し,法人として本格的に活動をスタートさせました.世界の食料問題,環境問題,気候変動への対応など課題は山積しており,本学会の果たすべき社会的役割は益々大きくなっています.今年の夏はさらに高温となると予測されており,温暖化対策,温室効果ガス削減に関わる研究も増えてきています.これらの課題解決のため,作物学のみならず他の学問分野と連携を深め,これらの問題に立ち向かい,解決のための研究の推進と,技術開発,普及に貢献する法人としての学会の社会貢献活動を推進して参ります.
 これらの学会活動を推進するための今期の運営体制をご報告いたします.なお,学会HPにも各種委員会の委員長,委員など役員一覧を掲載しております.委員の皆様には学会活動のさらなる活性化に向け,ご尽力を頂ければ幸甚です.よろしくお願いいたします.
 (1)執行部体制
 新執行部では,本間香貴先生,青木直大先生に副会長(理事)を務めて頂き,法人の運営をサポート頂き,2027年の設立100周年記念事業に向けた取り組みなどを推進頂いています.高橋肇先生,荒木英樹先生に庶務幹事,足立文彦先生,門脇正行先生には会計幹事をそれぞれ務めていただいており,法人の会務,会計に関して精力的に活動を開始いただいています.監事には,前執行部で活動された畠山友翔先生,水田圭祐先生に就任頂いています.  
 (2)学会誌関係
 本会の和文誌である「日本作物学会紀事」は本号で93巻3号となっています.4月より和文誌編集委員会は東京大学に移り,青木直大先生に委員長を務めていただいております.英文誌の「Plant Production Science」は27巻を刊行し,英文誌編集委員会は4月より北海道大学に移り,柏木純一先生に委員長を務めていただいています.多くの会員の皆様からの研究成果の投稿よろしくお願いします.
 (3)講演会,シンポジウム関係
 本学会での講演会は春,秋2回開催し,2024年3月には第257回講演会が三重大学で開催されました.活気のある講演会を運営頂いた梅崎輝尚運営委員長,長菅輝義事務局長はじめ運営委員会の皆様のご尽力に改めて感謝申し上げます.2024年秋の第258回講演会(平井儀彦運営委員長,田中佑事務局長)は岡山大学にて9月26日,27日に開催されます.多数の会員の皆様のご参加をお願いいたします.
 シンポジウム委員会では,加藤洋一郎先生に続投いただき,100周年に向けたシンポジウムなど企画頂いています.合同シンポジウムなど他学会との交流を含め,検討いただく予定です.
 (4)学会賞関係
 学会賞選考委員会では,4月から新田洋司先生に委員長を務めていただき,2025年度の日本作物学会賞,日本作物学会技術賞,日本作物学会研究奨励賞,日本作物学会論文賞,講演会優秀発表賞の選考,また,農学賞,農学進歩賞,育志賞ほか各種団体からの学術賞の推薦を進めて頂いています.学会賞等のご推薦,よろしくお願いいたします.
 (5)国際交流関係
 海外交流推進委員会では,三屋史朗委員長に続投いただき,国際学会等の国際交流を推進いただいています.2025年5月19~22日にACSAC11が台湾の台北で開催され,三重大学の講演会会期中にビジネスミーティングを開催しました.アジア作物学会議の会長である山内章先生,事務局長の坂上潤一先生にご尽力頂いており,連携して海外交流を推進していきます.
 (6)地域談話会等との連携強化
 法人では他学会とも連携可能な地域談話会として,本会は談話会の活動をこれまで以上に強化します.全国で連携する談話会は以下の通りです.
 日本育種学会・日本作物学会 北海道談話会,日本作物学会東北談話会,日本作物学会関東談話会,北陸作物・育種談話会,日本作物学会東海談話会,日本作物学会近畿地域談話会,日本作物学会中国地域談話会,日本作物学会四国談話会,九州作物学会
 (7)ダイバシティ関係
 任意団体の「若手・男女共同参画ワーキンググループ」は発展的に法人では「ダイバシティ推進委員会」となり,世代,性別,国籍,専門の学問分野,職位,生産者,研究者など交流を促進します.初代委員長には江原宏先生に務めていただき,異分野の方との交流人口を増やし,また会員増加のための方策を検討していきます.
 (8)法人の広報・社会貢献関係
 広報委員会は法人では「広報・社会貢献委員会」に名称を変更し,委員長の阿部淳先生を中心に広報を通じた社会貢献活動を強化していきます.HPはすでに法人HPに刷新されており,交流の場としてのHPを充実していきます.出版部では,新田洋司先生に続投頂き,法人での出版を通じた社会貢献活動を推進していきます.
 (9)2027年の設立100周年記念事業関係
 2027年まで3年となり,「100周年記念事業準備委員会」を立ち上げ,副会長の本間香貴先生に委員長を務めていただき,学会誌等でのレビュー集の企画,記念式典,他学会との記念合同シンポジウムなどの企画を検討いただいています.100周年に向けて,またつぎの100年に向けて,盛り上げていきたいと思います.会員の皆様のご支援,よろしくお願いいたします.
 (10) 学会の将来ビジョン関係
 将来の日本と世界の食料,作物生産の課題解決のため,作物学研究,社会貢献のビジョンを検討する「将来ビジョンワーキンググループ」を立ち上げ,座長を吉田ひろえ先生にお願いしました.3月の答申に向けて活動いただく予定です.

2024年6月