日本作物学会会員の皆様へ
会長 大川泰一郎
(東京農工大学大学院農学研究院)

2024年1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」より1年と半年余りの月日が経過しましたが,復旧の途上にあり,一日も早い復旧,復興を願っております.日本作物学会は日本農学会および加盟学会とも連携し,とくに農業復興での貢献に向けて,取り組む所存です.
米不足,米の価格高騰が連日のように報道されており,主食である米への社会の関心が高まっています.米不足の要因の一つには,2023年,2024年の異常高温による登熟障害米の発生,一等米比率の低下があり,温暖化が進むと高温不稔の多発など収量の低下が懸念されます.本会は水稲品種の高温耐性の強化や栽培技術の開発に関する研究成果を社会に還元し,将来の米の安定生産に貢献するため,学会活動を推進して参ります.秋の新潟大学での講演会シンポジウムでは,この問題について議論が行われる予定です.多くの会員の皆様のご参加をお願いいたします.
さて,執行部の活動も1年以上が経過し,本会も「一般社団法人日本作物学会」として法人に完全移行し1年以上が経過しました.法人として,作物学の研究成果を社会に還元するべく,広報,出版等を通じて社会貢献活動に力を入れています.出版部では,「作物栽培体系」の他,一般の方向けに「農作物のひみつ」を今年3月に出版しています.また,学会の中長期のビジョンを策定するため,将来ビジョンワーキンググループでは,財政検討ワーキンググループ,ダイバシティ推進委員会とともに,アンケート調査を実施し,会員の皆様から頂いたアンケート結果のご意見をもとに,将来ビジョンを検討する予定です.
本会は2027年には100周年を迎え,本間副会長を中心に,「100周年記念事業準備委員会」にて,日作紀,PPSのレビュー論文の募集,100周年記念式典,日本土壌肥料学会との合同シンポジウムを企画しております.また,今年3月には日本農芸化学会との合同シンポジウムを開催いたしました.今後も,他学会との研究者交流,ダイバシティ推進のため,合同シンポジウム,ワークショップなどの企画を検討していきます.企画に関する会員の皆様からのご意見をお寄せいただければ幸いです.
2025年5月19~22日には第11回アジア作物学会議(ACSAC11)が台湾の台北で開催されました.また,今年4月より日本作物学会内にACSA事務所が設置され,ACSAC12に向けて活動を開始しています.韓国作物学会とは今年MOUの更新を行い,ACSAC11会期中には台湾農芸学会との間でMOUの調印式を開催いたしました.アジアにおける食糧,温暖化など共通の課題解決のため,研究者,特に若手研究者,学生間の国際交流を促進するための活動に取り組んでいきますので,会員の皆様のご協力,よろしくお願いいたします.
2025年7月