日本作物学会の会員の皆様へ
会長 森田茂紀
(東京大学大学院)
前回,会員の皆様にご報告してからの3ヶ月間は,春の総会でご承認頂いた事業計画および予算にしたがって順調に会務が進んできました.多少重複するところもありますが,今後の動きも含めてご報告させて頂きます.
1.会長選挙・評議員選挙の一部変更
会長につきましては,立候補した正会員およびご本人の了解を取ったうえで推薦された正会員を候補者とすることが,また評議員につきましては,選挙によって選出された者の1割を限度として,評議員会の承認を得たうえで会長が追加委嘱できることになりました.7月16日(土)に東京大学農学部で幹事会を開催し,具体的なスケジュールなどについて協議いたしました.その結果を執行部で整理して本号(評議員選挙につきましては次号)に掲載いたしますので,ごらん頂いたうえ,ご協力をお願い申し上げます.
2.日作紀・PPS関係
PPSの刊行に対して410万円の科研費補助金が交付されることが内定し,手続きを進めました.また,PPSのimpact factorが上がることが予想されておりましたが,2003年に0.316(Agronomy分野53誌中39位)であったものが,2004年は0.516(Agronomy分野50誌中31位)となりました.著者および関係者のご努力に感謝申し上げます.impact factorを上げること自体が目的ではありませんが,技術的な努力工夫によってPPSの評価が実態にあった高いものになればと考えております.そのための戦略として,日作紀およびPPSの発行時期を,これまでより各号とも,2ヶ月ずつ早める方向で準備を進めており,2006年度のそれぞれ1号から実施できる見込みであります.
3.講演会および評議員会
第219回講演会は2005年3月30~31日に日本大学生物資源科学部で開催され,昨年沖縄コンベンションセンターで開催されました第218回講演会において台風のために発表できなかった講演はポスターで発表して頂きました.
第220回講演会は2005年9月28~29日に岩手大学農学部で開催の予定で,順調に準備が進められています.シンポジウムは「ダイズ生産,特に境界領域を考える」および「いわてから食と農を考える」が予定されています.シンポジウムの開催に関連して申請を行いました平成17年度科学研究費補助金の研究成果公開促進費は,残念ながら不採択となりましたが,シンポジウムは予定どおり開催いたします.
第221回講演会は,2006年3月30~31日に東京大学農学部で開催の予定ですが,ミニシンポジウムの一部に比較的小規模な国際シンポジウムを取り入れていくことが,国際交流委員会によって企画されており,関係者の間で調整が進んでおります.
5.学会からの発信
レビュー委員会からご提案のありました日作紀における連載ミニレビュー「作物の形態研究法:マクロからミクロまで」が開始され,順調に進んでおります.また,出版計画につきましても企画が進んでおり,次号で概要をご紹介できると思います.このほか,作物学用語解説集(仮称)の編集作業も順調に進んでおります.
6.若手研究者の育成
会員の方からのご指摘により日本作物学会会員の科学研究費補助金への申請について会長付き幹事に調査してもらいましたところ,若手枠の申請が関連の学会に比較して圧倒的に少ないことが明らかとなりました.作物栽培関係分野の若手研究者の絶対数が減少しているのだとすると大きな問題です.この点については今後も注意していきたいと考えていますが,是非,若手研究者に科学研究費補助金への申請を奨励して頂ければと思います.
小合名誉会員からのご寄付頂きましたことを機会に,若手会員の海外派遣の支援などにつきまして松田副会長を中心に検討して頂いています.特別会計の有効活用も含めて,学会として支援については引き続き検討させて頂きます.
7.遺伝子組換え作物をめぐる問題
遺伝子組換え作物(遺伝子組換え技術を含む)をめぐって,社会的に様々な動きがあります.そこで,日本作物学会としましても,この問題について学会として対応するために国分副会長を中心に検討を進めて頂いています.短期間に結論がでる問題ではありませんが,精力的に議論をして頂いており,岩手の臨時評議員会で中間報告をして頂く予定です.それを踏まえて,会員の皆様にもご報告させて頂きます.
8.支部関係
昨年に引き続き,支部会(談話会)の機会に支部を回らせて頂いています.すでに,近畿支部,北陸支部,中国支部にお邪魔し,歓迎して頂いています.とくに北陸支部では,昨年度の豪雨被害に関する調査研究の結果を踏まえて,シンポジウムが開催されました.「作物ストレス学」というような分野の確立も求められているような気がしました.支部会参加は短い時間ではありますが,支部と本会との関係を含めて,皆様の御意見などを伺えればと考えておりますので,引き続きよろしくお願い申し上げます.
9.秋の臨時評議員会
岩手大学で開催される第220回講演会の前日に,臨時評議員会を開催する予定です(昨年の沖縄でも予定していましたが台風のために中止となりました).
この臨時評議員会では,来春の評議員会における報告や議論で済むような問題はできるだけ割愛して,これまで懸案となっている問題について議論して頂きたいと考えています.学会の組織体制,広報活動と発信活動,日作紀とPPSとの関係,若手研究者の支援,国際交流の推進,本会と支部会との連携など,様々な問題が考えられます.その他,ご意見などございましたら庶務幹事までご連絡下さい.