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日本作物学会の会員の皆様へ

会長 丸山幸夫
(筑波大学生命環境系)

 私が会長に就任してから1年3カ月が経過し,2年の任期の折り返し点が過ぎました.2月に昨年の本会活動について報告しましたが,今回はその後の活動の概要についてお知らせします.懸案であった財政改善に明るい見通しが立ち,学会誌の充実と講演会の活性化に努めながら国際交流活動の展開を図っています.
 第2回幹事会は3月4日(土)に東京大学農学部で開催され,2016年度の会務報告と2017年度の事業計画が検討されました.定例の評議員会は3月28日(火),総会は3月29日(水)に東京大学で開催され,上記の会務報告と事業計画が審議・承認されました.2016年度は赤字予算で始まり,科学研究費の国際情報発信強化(B)の不採択により赤字額はさらに増えましたが,事務局および各種委員会の経費節約,支部会補助金の減額などの緊縮財政と,講演会運営委員会からの寄附などにより,僅かながら黒字で決算することができました.また,和文誌編集委員会から速報という新たな投稿区分が提案され,審議の結果承認されました.
  第243回講演会は3月29日(水)~30日(木)に東京大学農学部で開催され,一般講演127課題,ポスター91課題が発表されました.その他,シンポジウム委員会および海外交流推進委員会が主催する2件を含む5件のミニシンポジウム,2件の小集会が開催されました.なお,講演会1日目の学会賞等の受賞講演の際,ノロウイルスの感染が疑われる参加者の情報がありましたが,講演会運営委員会の的確な対応により,感染拡大なく予定通り講演会の日程を終えることができました.これを受けて,講演会企画委員会に講演会参加者に感染症が疑われる場合の感染拡大防止の対応マニュアルの作成をお願いしました.
  4月初めには平成29年度の科学研究費の交付内定の吉報が届きました.研究成果公開発表(B)「10年後への中山間地域の農業像」,および,国際情報発信強化(B)の「オープンアクセス化を果たしたPlant Production Science誌の更なる国際情報発信展開」がいずれも採択されました.とくに,国際情報発信強化(B)のPPS助成は平成29年度から5年間交付予定です.これらにより,本年9月の岐阜大学での講演会シンポジウムの充実,英文誌の論文審査体制の強化と掲載論文の質の向上を図ることができ,学会財政の改善も期待されます.
  第9回アジア作物学会議は6月5日(月)~7日(水)に韓国・済州で開催されました.参加者は韓国,日本,インドネシア,フィリピン,アメリカなどから約400名,招待講演11,口頭発表32,ポスター発表294の研究発表がありました.日本からの参加者は約65名,招待講演2,口頭発表11,ポスター発表40であり,会議の成功に貢献しました.その中には若手研究者海外学会出席助成を受けて参加した大学院生4名とその発表も含まれています.若手・男女共同参画ワーキンググループの吉田ひろえ座長が中心となって実施したYoung Scientist Forum in Asiaでは,日本2,韓国2,インドネシア1の口頭発表があり,アジアにおける若手研究者交流の推進についても意見交換が行われました.ビジネスミーティングでは,2017~2020年のアジア作物学会議の会長に韓国作物学会のSun Hee Woo氏,副会長に日本作物学会長,事務局長に韓国作物学会のWook Kim氏が就任することになり,次回の第10回アジア作物学会議は2020年9月に名古屋で開催することが決まりました.その後のオープニングセレモニーで名古屋大学の山内章氏から次回のアジア作物学会議を名古屋で開催する旨のプレゼンテ―ションがありました.
  以上のように,和文誌に速報区分が新設され,英文誌でも論文審査体制の充実と掲載論文の質の向上に向けた取り組みが進んでいます.秋季講演会では科研費を活用して特徴あるシンポジウムを準備しています.会員の皆様には論文投稿と講演会参加によりこれらの試みを利用していただきたいと思います.また,今年の秋には韓国作物学会との交流活動を実施し,引き続き日中韓の国際交流活動を基に2020年に名古屋で開催予定の第10回アジア作物学会議の準備を進めます.さらに,同年にカナダで開催予定の第8回国際作物学会議にもこの活動を展開したいと考えています.引き続き会員皆様のご協力をお願い申し上げる次第です.