第246回講演会
(北海道大学農学部・2018年9月)

小集会

(1)水稲種子生産,日本と世界の状況と事例2018
作物学会では宇都宮大学の高橋らが2016年から,3回の小集会とミニシンポジウムによって,原種・種子生産に関わる問題点を探り,採種事業と研究の接点を検討してきた(第241回,243回,245回講演会).農業生産の競争力を強化しようとする日本政府の意図から2018年4月付で「主要作物種子法」が廃止されたが,安価で安定した優良種子の供給が継続されるかどうか,関係者の間には懸念の声もある.現時点では,ほとんどの地方自治体では従来の採種事業を支援していく姿勢をとっており,また,目立った民間の参入も見られてはいない.しかし,みつひかり,ハイブリッドとうごうシリーズといったハイブリッド稲など,民間によって開発されてきた良質の多収米も少数ながら拡大してきている.ハイブリッド稲の開発は,日本の公的機関では行われていないが,中国,ベトナム,アメリカなど,多収性を推進している国々では,重要な技術として研究開発が推進されているが,種子生産上のコストが高いことも大きな課題である.基本的に,優良種子生産は,優良品種開発と深く連携しながら,農業生産の振興のために重要である.第246回講演会が開催されている北海道で,ゆめぴりかやななつぼしなどの良食味低温耐性品種の最近の開発と普及の成功のために,道における採種事業の果たした貢献も見逃せない.東南アジアやラテンアメリカの稲生産諸国でも,品種改良と並んで種子生産が重要とされるが,意外と重要性が見逃されているかもしれない.日本の途上国支援でも優良種子生産事業がアフリカやアジア諸国で行われている.小集会で,多様な背景にあるスピーカーから,イネの種子生産に関する話題を提供いただき,種子生産に関する課題や短期的長期的展望を,国際的な動向も視野に入れながら考え,情報の共有を図る機会を設けたい.

日 時:9月6日 14:40〜16:10
会 場:N21 講義室

1. 首都圏での2018年の調査(茨城県、埼玉県)
  鴨下顕彦(東京大学), 藤井みずほ(東京大学)
2. 日本作物学会講演会小集会・ミニシンポジウムにおけるこれまでの取り組みと宇都宮大学による新稲品種「ゆうだい21」の品種維持と原種・種子生産
  高橋行継(宇都宮大)
3. ラオス・カンボジアでの水稲種子生産
  Shu Fukai(クイーンズランド大学)
4. コロンビアでの水稲種子生産
  Nelson Amezquita (Fondo Nacional del Arroz)
5. 民間会社における効率的F1採種技術開発の試み
  地主建志(水稲技術研究所)

発起人:鴨下顕彦(東京大学),高橋行継(宇都宮大),地主建志(水稲技術研究所),林伶史(北農研),Shu Fukai(クイーンズランド大学)

(2)若手の会企画による小集会(25)
「Youは何しに作物学へ?」
他の分野ではどんな研究をしているんだろう,専門分野って変えられる,あるいは両立できるのかしら,全然知らない仕事を任されてしまった・・・,そんな疑問や不安を抱えている方はいませんか?本小集会では,異なる専門分野から作物学関連分野に転身し活躍している研究者,作物学を含む複数分野で活躍している研究者をお呼びし,作物学関連分野に入った理由,分野変更や両立に伴う苦労話,他分野を経験しているからこその強み等について紹介していただきます.また,講演後には北大キャンパスミニツアーを予定しております.

講演者:浪川 茉莉(東北農業研究センター),浅木 直美(茨城大学農学部),保田 浩(北海道農業研究センター)

日 時:9月6日 14:40〜17:40
会 場:N31 講義室

発起人:八木岡敦(農研機構北海道農業研究センター),長南友也(農研機構北海道農業研究センター),岡本卓哲(名古屋大学),近藤琳太郎(京都大学),吉岡佑一郎(北海道大学),若林侑(北海道大学)