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家庭生活と研究・教育活動の両立は多くの学会員のみなさまにとって頭を悩ませる問題の一つだと思います.本ページではその両立のための課題や解決策を考えること,そのような状況にある学会員のみなさまにエールを送ることを目的をして,子育て世代の学会員の方から生の声をお寄せいただきます.ご意見やご感想がありましたら若手・男女共同参画WG座長(吉田, hiroey(@)affrc.go.jp) までご連絡ください.

母として、研究者として−ポスドク時期の子育てと研究生活を振り返って−
日本学術振興会特別研究員 RPD
(農研機構東北農業研究センター)
松波 麻耶
 

研究者を目指している女子学生の皆さんのなかには,キャリアパスの中で出産・子育てというものに漠然とした不安を抱えている人もいるのではないだろうか.研究キャリアのスタートで多くの人が経験するポスドクの期間は,女性としては出産適齢期をすでに迎えた時期でもあるが,正規雇用者に比べてポスドクが出産・育児に際して利用できる制度は少なく,離職せざるをえない場合もある.でも,もし新しい命を授かったなら,それは自分の人生をより輝かしいものにするチャンスかもしれない.少なくとも私は,ポスドクとして研究と子育てに奮闘してきた毎日を振り返ると,母親になる前にはなかった価値観の芽生えや素晴らしい人たちとの出会い,そして多くの支えに対する感謝の気持ちを通じて,自分の人生がもっと豊かになり,そして研究への情熱がもっと確かなものになったと感じている.そんな私のこれまでの研究生活の一部をこのコラムとして綴ったので,未来の女性研究者の皆さんの参考のひとつにでもなれば嬉しい.

私が博士号を取得したのは2011年3月.母校の東北大学は震災後の混乱の中,卒業式こそ行えなかったが,後日,学位記を一人ひとりに贈って下さった.私の博士課程は2008年の4月,長女の誕生と共に始まった.慣れない子育てとコースドクターを両立できるのだろうかと初めは心配もあったが,周囲の協力もあり,無事,学位記を手にすることができた.あれから6年が経ち,長女は小学3年生になった. 2年前には次女に恵まれ,同じく作物学研究者の夫と家族4人,あわただしくも充実した日々を過ごしている.

卒業後はずっとポスドクとして研究を続けている.ポスドクは研究に専念できる貴重な時間であるが,雇用に安定性がない.私もこの6年間で無給ポスドクからJSPS特別研究員と色々なポスドクを経験してきた.振り返ると,毎日がとても楽しく,色々な経験や人との出会いの一つ一つは全て今の糧になっている.ただ,一つだけ苦労したのは,保育園に子供を預ける資格を維持しつづけることである.無給ポスドクのときは役所に行って「(保育園に預けて)研究を続けないと次(就職)に繋がらないんです!」と直談判したり,とにかく形振り構わずであった.でも,“形振り構わず追い求められるもの”を持っている,それはとても幸せなことではないかと思う.

子育てしていることで舞い降りたチャンスもあった.それは,日本学術振興会の特別研究員RPDである.この制度の私にとっての最大の利点は,研究拠点(受入研究機関)を自分で決められることだ.この制度のおかげで,家族同居を維持しながら,しかも主体的に研究を行うことが出来た.また,特別研究員は産前・産後に研究を中断することが認められているので,第二子の出産では離職することなく育児にも専念できた.RPDの面接会場で,周りの候補者が皆,私と同じく子育てに奮闘しながら研究を続けているんだ,と思うと少し勇気付けられたことを今でも覚えている.ちなみに平成30年度採用のRPDからは,育児への負担を考慮して面接はなくなる.様々なニーズに応えて制度も年々改善されているようだ.

このように研究職においても,ライフイベントを考慮した様々な制度が年々充実しつつあるが,一番大切なのは周囲の理解や協力であることは間違いない.これまで,東北大学,秋田県農業試験場,秋田県立大学,東北農業研究センターの諸氏には最大限の協力をしていただいた.特に指導教員の國分牧衛先生は,大学を離れ,秋田で子育てをしながら研究を続ける私が何不自由なく博士課程を送れるよう全面的にサポートして下さった.妊娠・出産を我がことのように喜んで下さる方も沢山いた.妊娠しても子育てしていても,何ら引け目を感じない環境に身を置けたこと,そして公私共に支えてくれる家族に恵ま れたこと,それこそが私の研究生活の最大の幸運である.

今ではすっかり子育て中心の研究生活が板についてきた私だが,こんな私もかつては世界の食糧問題を解決するんだ,と青臭い夢を描いて農学部に飛び込んだものである.その頃に思い描いた自分と今の自分は全く違うが,実は気持ちはとても満ち足りている.アフター5はお母さんスイッチに切り替え,日夜研究に没頭というわけにはいかないが,日中は集中して仕事をし,家では子供とゆっくり過ごすというメリハリのある生活もなかなか良いものである.子供の成長は大きな喜びと幸せを与えてくれる.それと同じように,よい実験結果が出たとき,論文が採択されたとき,季節の移ろいを感じながら圃場で作業するとき,研究生活は沢山の喜びを与えてくれる.だから,少し欲張りかもしれないが,どんなかたちであれ,研究も続けていきたい.そして少なくとも,二人の娘の母親として,最も身近な女性の先輩として,彼女たちには誇れるような人生を歩んでいきたいと願っている.
Dr_Matsunami
研究も育児も家事も夫婦共同参画!
 
「みんなの支え」があってこそできる研究と子育て
国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
次世代作物開発研究センター
稲研究領域 稲栽培生理ユニット
荒井(三王)裕見子
dr_arai
農研機構では,水稲の栽培生理の研究をしています.子供のころから植物好きで,大学時代に農業の素晴らしさにふれ,農学研究の道へ進みました.
経歴は,大学院博士課程→日本学術振興会 特別研究員PD(3年)→農研機構 契約研究員(1年)→任期付き研究員(3年)→研究員(現在)です.1人目妊娠中に就職活動,産休明けより「任期付き研究員」になりました.そして「研究員」2年目で2人目を出産(1年間の産休・育休),4年目で3人目を出産(半年の産休・育休)しました.1,3,8歳の子供がいる5人家族です.
子供の育児が始まり,日々の生活は大きく変わりました.ワーク・ライフ・バランスをとることの必要性は理解しているつもりでした.しかし,これまでの習慣を大きく変え,日々の生活リズムが取れるようになるまでは,試行錯誤や葛藤がいっぱいありました.育児や家事は夫婦で分担しているものの,夫は東京勤務のため,3人の子供の日々の送迎や育児,急な病気への対応,行事への参加は1人で行わなければなりません.子供たちの風邪等で,勤務時間や日数が限られ,不定期に休みを取ることも度々あります.そのため,仕事では時期の限られた研究や一連の実験を行いにくく,成果をまとめる時間が不足しがちです.そんな時,私は以下のような制度と周囲の協力により乗りきっています.
(1) 農研機構・研究センター・ユニット・プロジェクトに関わる皆さまの協力と理解
(2) 裁量勤務体制,代替職員(産前産後の期間や育児休業期間に研究業務を代替する任期付職員の雇用)や契約職員(予算配分)の配置,ユニット内の仕事の分担調整による直接的なサポート
(3) 家族内の育児と家事の分担,お互いの仕事の調整,相談
家族以外では,職場での理解が最も大事で,難しいところなのかもしれません.私の場合はその点で困ることは無く,本当に皆さんに助けられていると感じています.最近になって,限られた時間内で出来る最大限の仕事をする〈技〉が少しずつ身についてきたように感じます.仕事の〈技〉は人それぞれですが,仕事に優先順位をつけ取り組むべきことを整理する,人を頼る,とにかく楽しむ〈技〉が私は大切だと感じています.また日々サポートして下さる方に,直接恩返しは出来なくても,次の世代へのサポートを行うことで恩送り的なことが出来ればと思っています.
育児も仕事も充実していて,楽しめる環境に恵まれたことをとてもありがたく思っています.あっという間に1日が終わっていく毎日ですが,将来思い出した時に,あの時はキラキラした幸せな日々だったと思えるような気がします.もし不安があっても,勇気を出して一歩踏み出せばきっと何とかなります.誰かに支えてもらって前に進むのって,とても素晴らしいことだと思います.   Dr_arai2